業務委託契約の社会問題!計器類で有名なT社から考察
T社は正社員じゃなくなる!?正社員と個人事業主について
すごい記事を見つけてしまった(一か月前の記事ですが・・・)ので、ヤフーニュースから引用し、こまるくん観点からお話していきたいと思います。
先日(2019年11月26日)、スマホでこの記事を見つけて、駅のホームでコーヒー吹きましたわ。。。
《こまる氏。業務委託契約経験者としても物申す!!》
10/9(水) 8:00頃ネットのニュースで配信
社員を独立させて業務委託!? 前代未聞!T社の「働き方革命」
ところでT社ってどんな会社?
家庭用and業務用計器類の製造・販売をしている会社です。
過去には、ヘルスメーターでお世話になりまして( ̄∇ ̄;)ハハハ
家電量販店でよく見かける名称ですね!
正規雇用時代をベースに個人事業主として業務委託契約
正社員から個人事業主での業務委託契約にシフトするというではないか!!(唐突)
これはやばいにおいがする。
何がやばいかというのを記事の中で感じ取ってほしい。
選択制をとっていて全員ではなく、希望者が個人事業主として業務委託契約できるとのこと。
てか、個人事業主ってなに?業務委託契約ってなに?
まず労働者のおさらい
使用者(会社など)と直接、雇用契約(労働契約)を結んでいる人を労働者といいます。
正社員,アルバイト,パートなどがこの契約にあたります。
使用者は労働者に対し、契約した業務内容を行ってもらう対価として金銭を全額支払わなくてはなりません。
労働者は使用者に対し、対価を受け取るために、誠実に業務をしなくてはならない義務を負います。
※ちなみに派遣社員は、派遣先とは直接契約しておらず、派遣会社を通して派遣先と契約します。直接契約しているのは派遣会社になりますので、待遇面や退職などについては派遣先に伝えなければなりません。
そして業務は派遣先に従わなくてはなりません。
正規雇用契約(正社員)、非正規雇用契約(契約社員,アルバイト,パート)、派遣契約(派遣社員)には、労働者を守る法律が存在します。労働基準法が典型例です。
従業員のほとんどが知らないかもしれないが、かなり労働基準法で守られているのです。
契約について
- 給料
- 休日
- 休憩
- 早出・残業手当
- 休日出勤手当
- 有給休暇
- 退職について
- 解雇について
などなどいろいろあります。
会社が好き勝手できないように、会社の権利を制限し、義務を課しています。
では個人事業主とは?
個人事業主とは、個人で事業を行っている人のことを言います。そっくりそのままでひねりもありません。
こまるは現在2つの個人事業主をしていて、来年度にはこまるのweb関連の個人事業主が増えて3つになる予定です。
会社設立のお金がない人や、会社を設立するうまみのない人は、まず、個人事業主として自営業をスタートすることが多いです。
個人事業主は、税務署にある個人事業主の『届出』をし、不備がなければそのまま受理されます。『届出』は、ゆるい形式要件を満たせばOKなので、けっこー簡単に受理されます。
個人事業主は、代表取締役と名乗ることは禁止されているので『代表』『代表者』と名乗ることが多いです。
個人事業主であっても、一人で仕事をするとは限りません。
家族や雇用した従業員など、複数で事業を行っていても、それが法人でなければ個人事業主といえます。
フリーランスも個人事業主と同様、企業や団体などと雇用関係がなく、独立して仕事を請け負う人(業務委託契約)のことをいいます。
個人事業主は所得税を会社に天引きされるということもないので年末調整もありません。
税務署に所得税を収めることになります。ほかにも個人事業税などの税金もあります。
業務委託契約は労働基準法適用外です。
個人事業主のメリットとデメリット
個人事業主のメリット
個人事業主になることで個人事業主になれば、働く場所や時間を会社は制約できなくなります。働く時間も自由です。
個人事業主との業務委託契約において、発注者である会社(本件ではT社)が、出勤や退勤、勤務時間の管理を行うことはできません。
労働者と逆のことが起きます。以下の通りです。
- 遅刻がない
- 早退もない
- 欠勤もない
- 働く時間は自由
- 休憩とるのも自由
- 休みを取るのも自由
- 働く場所を会社が指定できない
- 仕事場所に向かうとしても交通手段の制限もない
- 健康保険や厚生年金で莫大な額を天引きされない
あれ?すごくいいじゃん!!と思った方。待ってください。まだデメリットの話がありますよ。。。
個人事業主のデメリット
個人事業主のメリットとは逆のこと+αが起きます。。。
- 収入保障はない
- 働くための仕事がなくなるかもしれない
- 働きまくらないといけないかもしれない
- 休日だらけになるかもしれない
- 休日がないかもしれない
- 休憩だらけになるかもしれない
- 休憩がないかもしれない
- 国民年金と国民健康保険になる(条件を満たすと厚生年金と国民年金も可または強制加入)
- 労災がない(けがなどがあれば自腹)
- 会社が個人事業主を守ることができない
- 労働基準法が適用されない
- 無限責任を負う(何か大問題があれば、発注先ではなく、個人事業主に全額の損害賠償請求がくる)※株式会社は倒産するときに、条件を満たせば最低限の責任のみ負い、低リスクの倒産(閉鎖登記)も可能です。
なので、個人事業主は仕事がないということもありえること。
雇用保険加入もないので、仕事がなければ、社会保障(失業給付など)がない失業者という感じです。
で、なにがやばいの?
いやいやここからが本番ですよ。ゆっくりご覧ください。
業務委託契約の怖さ
個人事業主は、契約上の権利義務があっても制限が少なかったり弱かったり、顧客と直接取引しているなら特に問題とはなりません。
個人事業主による,雇用契約に近い業務委託契約がやばいんです
会社員時代より手取り収入アップ
ヤフーニュースによると・・・
ということらしいので、ざっくり計算しますね。
社会保険料のうち健康保険と厚生年金は41,000円くらい
手取りが259,000円くらい
社会保険料がないので国民年金と国民健康保険で30,000円くらいです
手取り355,800円
個人事業主例➁:月額報酬30万円に最低である16%上乗せで348,000円
社会保険料がないので国民年金と国民健康保険で30,000円くらいにしときます。
手取り318,000円
① 確定申告は自分の責任で行う(税理士に依頼と30,000位)
② 年1回所得税が200,000円前後かかります。
③ 年1回住民税が300,000円くらいかかります。
④ 経費管理をしないといけない、経費を増やさないと納税額が高くなる。
②,③いずれも雇用より高い納税額であり、雇用と違い、原則一括払いです。
会社からの保障がない
基本的には個人事業主が業務委託契約をすると会社は何一つ保障すべき法律上の義務が全くありません。
仕事させるもさせないも発注先(T社)の自由です。
③ 社会保険という社会保障制度がないこともしっかり考慮している:
⇒ まず、前提知識として、社会保険は労働者と使用者が折半で年金事務所に納めている(労働者が厚生年金を天引きで23000円負担しているなら、使用者は同額の23000円を負担している。この合計46000円を定められた機関に納めている)では、46000円を労働者に上乗せしているかと言うとそうではないとこまるは考えている。
23000円をベースに上乗せするだけで、定年後、受給年金額が激減する可能性がある。
会社と業務委託契約者の契約と実体性が気になります。
法律上の保障もない
① 労働基準法適用がない:
⇒ 労働基準法適用がないため、業務委託契約者が会社に損害を与えた場合は無限に損害賠償義務を負います。
雇用契約で労働基準法適用がある場合、会社は求償権(損害の一部は会社に払ってよという権利)は、有限であり、全損害を負わないし、求償額も非常に低い。
② 不法行為責任・債務不履行責任も業務委託契約者本人の責任:
⇒ 業務委託契約者が、社外の誰か(人やモノ)に損害を与えた場合、個人に損害賠償請求が行きますし、会社に損害を与えた場合は双方から損害賠償請求されることになります。
雇用契約の場合は、被害者は個人だけでなく、会社にも損害賠償請求可能な場合があり、基本はお金に余裕があるであろう会社に先に請求が行きます。そのあと会社が労働者に求償権を行使します。
このように、会社は業務委託者を守ることができないし、助ける義務がありません。
社会的信用が著しく低い・ローン問題
個人事業主は、その不安定なイメージから、正社員は言うに及ばず、非正規労働者である、契約社員やパート,アルバイトより不利な扱いを受けることが多いです。
一般的に個人事業主は、安定した収入が何年継続しているとか、取引先との関係、取引先の状況など様々なプラス要素がない限り、住宅ローンを組むのは難しいだろうと思います。
T社のメンバーが個人として業務車としてリースしようとしたところ、相当な悪条件を提示されたという話もあります。
T社では、団体を設立して、リースやローンの保証ができないかという話もあるが、そもそも個人事業主自体の社会的信用が低いため、団体が保証できるかどうか以前の問題となる。
業務委託は現代の社会問題
宅配で、黒ナンバーに黄色文字の軽自動車を見たことはないだろうか?
宅配の業務委託契約車両です。宅配業者が個人に業務委託契約として依頼し、宅配業者名を名乗って配達に来ているというのが個人事業主で業務委託契約をして仕事をしているよく見かける一例です。
社会問題となっている、『正社員に近い、個人事業主による業務委託契約』の問題点をお話ししていきます。
正社員より経費が圧倒的に安いので脱法手段として使用されてるケースが多い
正社員より業務委託契約のほうが会社は圧倒的に義務もリスクも少ないため、業務依託契約という契約内容で、実体は正社員とほぼ変わらない仕事をさせている会社が多く存在する。
こまるくんの体験談
体験談を交えて話をしたほうがわかりやすいと思いますので掲載していきます。
【こまるくんの経験談(先行契約)】
業務時間 ⇒ 12:00~21:00
休日 ⇒ 土日に設定
報酬 ⇒ 日額20,000円固定
上記契約にて仕事を開始しました。
まず、最初から問題。
1、発注先は業務委託契約者に対し、指導,指示をしてはいけないため、業務内容とやり方はざっくりとしか教えてもらえず、発注先からも「仕事が遅い」と怒られ、顧客からもクレームが入り、なおかつクレーム処理は発注先が行うことはほとんどない。正社員はおしゃべりをしていて顧客のことは考えていないかった。
2、繁忙期を過ぎたころ、業務内容が減り、発注先より「仕事の完成個数がすくないので、完成個数ごとの報酬額に変更する、対応できないなら契約解除」と言われた。
対応できないので何とかできないかと模索していたところ、同社の他営業所で、契約を変更した。変更後の契約が以下の通り。
【こまるくんの経験談(契約内容変更後)】
業務時間 ⇒ 15:00~21:00
休日 ⇒ 土日に設定
報酬 ⇒ 日額15,000円固定
1、営業所が変わっても相変わらず、指導,指示をしてはいけないため、業務内容とやり方はざっくりとしか教えてもらえなかったが、先行契約のおかげで苦労しながらも業務をこなせた。
2、勉強の関係上、週4日の業務にしたい(水土日休み)にしたいといったところ、週5日業務ができないなら契約解除といわれ、我慢して行っていた。
3、業務車両は自分で用意したため、一日計算で、5,000円の経費がかかった。(手取り10,000円)さらに車検や保険、税金なども自腹。
4、業務車両が故障したので業務ができないと発注先に伝えると、「1日5,000円の損害金を払ってもらう」と言われた。
5、業務に慣れてきてたころ、ほかの業務をしてもらうといわれ、業務レベルは振出近くに戻る。
6、5により、当然業務が遅れるが、契約時間に従って業務を終了すると発注先に伝えると、「業務が完了するまで帰らせない」ということがあり、顧客宅に夜遅く(22:30)に伺い、もちろんクレームとなる。そしてクレーム処理は自分。
7、我慢する必要ないなと契約解除して業務はやめた。
以上のことから、見えてくる個人事業主の業務委託契約のやばさ
①、業務はまともに教えてもらえないのに怒られるしクレームは自分で対処
②、業務にかかるものは原則自腹で用意する
③、休日や業務時間縛り(業務上の拘束)はしてはいけないのに正社員と同じように扱う
④、労働より、手取りが下がる場合がある。
⑤、発注先に損害があると容易に損害金の請求が可能
総合的にまとめると、会社は業務委託と労働者のいいとこどりをしている = 業務委託契約者にとっては不利益が圧倒的に多いということです。
いいとこどりする会社が増えていることが社会問題となっているのです。
細かく言えばもっとあるが、こまるくんの件はかなりひどいもので、ほかには軽度な会社も多いだろう。もっとひどい会社も存在するかもしれない。IT関連のフリーランスのように、良い業務もあるだろうと思います。
皆さんは、個人事業主として業務委託契約をする際は契約内容を把握してじゅうぶん納得してから契約して、実際の業務もしっかり考えていきましょう。