【実体験】賃貸で事務所開業の費用-行政書士試験合格発表後の流れ
はじめに
2024年(令和6年度)の行政書士試験に合格し、2025年(令和7年)賃貸にて事務所を借り、12月に開業した筆者の実体験です。
実際にかかった費用約76万円と4か月の流れを詳しくお伝えします。
合格発表後から登録完了までに必要なもの、事務所契約の審査ポイント、開業セットの必要性、実務講座の率直な感想まで、これから開業を検討される方の参考になる情報をまとめました。
登録される方、効率的な事務所賃貸開業のご参考にどうぞ。
- 行政書士事務所開業にかかった費用の内訳
- 開業までの流れと期間(4か月の実録)
- 賃貸事務所の審査で聞かれたこと
- 開業に必要なものリスト
- 開業セットは必要か?
- 実務講座を受講した感想
- 自宅開業という選択肢
- まとめ
行政書士事務所開業にかかった費用の内訳

行政書士事務所を賃貸物件で開業する場合、想像以上に費用がかかります。
筆者の場合、総額で約76万円の初期費用が必要でした。
内訳を詳しく見ていきましょう。
事務所賃貸にかかった費用:約26万円
事務所の賃貸契約にかかった費用は約26万円でした。この金額には以下の項目が含まれています。
- 敷金・礼金
- 前家賃
- 仲介手数料
- 保証会社への保証料
- 火災保険料
物件によって条件は異なりますが、一般的事務所賃貸に必要な費用は、5か月分前後を初期費用として見込んでおくと安心です。
筆者の場合、契約にかかる費用を「契約前に」申込金として全額振り込む形での契約となりました。
登録費用の詳細:約30万円
行政書士として活動するには、各都道府県行政書士会を経由して行政書士連合会への登録が必要です。
登録にかかる費用は約30万円でした。
- 入会金
- 登録手数料
- 会費(数か月分前払い)
- 政治連盟会費
登録費用は都道府県によって多少異なります。事前に所属予定の行政書士会のウェブサイトで確認しておくことをおすすめします。
政治連盟は早々に入会しておいたほうが良いでしょう。
オフィス家具・備品費用:約20万円
事務所で業務を行うために必要なオフィス家具・備品にかかった費用は約20万円です。
新品で揃えるか中古で揃えるかによって大きく変わります。
- 職印作成費用
- 表札作成費用
- デスク・チェア
- 書棚・キャビネット
- A3印刷可能な複合機(プリンター・スキャナー・コピー)
- インターネット回線工事費
- ルーター
- 文房具・事務用品
- 引っ越し費用
職印は約35000円くらいで水牛のちょっといいものです。チタンでも安いケースもあるようですので、検討が必要です。
表札は約1万円見た目シンプルで安いものを選んでいます。
相談者様をお迎えするデスクとチェアはちょっぴり奮発し、お高めにしました。余裕をもって4人座れるものになっています。
筆者は自宅で使用していたオフィス家具やパソコンを一部流用したため、この程度の金額に抑えることができました。
- 低スペックパソコンで効率が悪くなると業務に支障が出るため、購入する方は20万円程度は見込んでいたほうがいいでしょう。
開業までの流れと期間(4か月の実録)

筆者が開業するまでにかかった期間は約4か月でした。
不動産屋が夏休みに入ったり、Web事業の仕事をしながらだったため、4か月と長い期間を要しました。
開業に専念し、事務所賃貸借契約や書類収集を計画的に行えば、1か月~2か月程度短縮できる可能性があります。
以下、実体験の時系列詳細です。
事務所探しから契約まで(7月下旬〜8月下旬)
事務所探しは、開業の第一歩であり最も重要なステップの一つです。
- 7月前半~後半:物件探し
- 7月25日:不動産屋へ連絡を開始
- 8月5日:候補物件の内見
- 8月8日:保証会社の審査申込(最初の1社は即日で審査落ち)
- 8月9日:別の保証会社から連絡があり、既存Web事業について説明。当日中に審査通過の連絡
- 8月27日:申込金として契約費用全額(24万円)を振込
- 8月29日:不動産屋にて正式契約
賃貸借契約書の目的には、行政書士事務所とWeb事業を行う旨を記載してもらいました。
審査については、保証会社によっては、過去の信用情報機関の事故情報が影響します。
滞納や自己破産等の経験がある方は、審査が厳しくなる可能性があるため、複数の保証会社に対応できる不動産屋を選ぶことが重要です。
事務所の引き渡しと環境整備(9月)
事務所の引き渡し後、まず優先すべきはインターネット回線の手配です。
回線工事には時間がかかるため、引き渡し当日に連絡することをおすすめします。
- 9月1日:引き渡し。すぐにネット回線の申込連絡
- 9月2日〜:オフィス家具の購入・準備
- 9月25日:自宅から事務所への家具移動(引っ越し業者を利用)
筆者の場合、当初契約予定だった回線事業者から工事可能の回答を得ていましたが、やっぱり契工事できませんという連絡がありましたので、再度探すという時間がかかりました。
結果的に別の回線事業者のホームタイプでの契約となりました。
業務上、通信速度は重要なため、ISDNなど低速回線は避けるべきです。
マンションタイプの回線契約にはビル全体の階数や設備要件があり、条件を満たさないケースがあるため、事務所ビルの総階数、事務所の存在する階数、ホームタイプかマンションタイプか、ISDNか、穴あけ工事可能かなど回線業者に事前に調べて伝えておく必要があります。
登録書類の準備と提出(10月〜11月)
事務所の環境が整ったら、いよいよ行政書士会への登録手続きです。状況により、同時進行できる部分があるかもしれませんが、筆者はじっくり着実に進めました。
- 10月14日:登録書類の収集開始
- 10月17日:ネット回線工事完了
- 10月18日:ルーター購入、登録書類の準備完了
- 10月19日:レターパックで書類を発送
- 10月22日:行政書士会から連絡(懸念点・追加書類について)
- 10月23日:行政書士会へ電話で調整、追加書類を当日収集完了
- 10月27日:行政書士会にて職印・表札の発注、登録・交付式の説明を受ける
- 11月7日:追加提出書類の連絡(郵送指示)
- 11月8日:レターパックライトで追加書類を投函
登録書類の中には登記事項証明書(登記簿謄本)が含まれます。
筆者は不動産屋さんが用意してくれたものを使用しました。
登録完了から交付式まで(11月〜12月)
書類審査が完了すると、いよいよ登録となります。
- 11月20日:登録される旨の通知を受領
- 12月1日:正式に登録
- 12月8日:金融機関提出用の登録事項証明を申請(政治連盟加入・職印登録も同時に)
- 12月26日:交付式
筆者の場合は、審査中に事務所を見に来ることはありませんでした。
いろんな角度からの写真撮影、図面との整合性、都道府県行政書士会の判断など様々な要因があると思いますが、確認に来る来ない基準は確認していないのでわかりません。
職印の登録は通常、交付式で行うそうですが、急ぎの場合は事情を説明し、事前に登録を受け付けてもらえることもあります。
金融機関の口座開設を急ぎたい場合など、登録事項証明書取得など必要な手続きがある場合は都道府県行政書士会へ相談してみてください。
賃貸事務所の審査で聞かれたこと
保証会社の審査では、事業の継続性や支払い能力について詳しく確認されます。筆者が実際に聞かれた内容は以下のとおりです。
- 現状の売上高
- 現在の事業(又は会社員としての仕事)を継続するか否か
- 取引先との継続的な取引の有無
- 開業資金の総額
- 現預金の額
- 事務所の改装費用の予定
- 従業員を雇用(委託する場合は受託者含む)の予定の有無
- 開業予定時期
「わかりません」や抽象的な回答ばかりとならないように注意しましょう。
できる限り具体的な内容を伝えられるよう事業計画などを準備しておきましょう。
開業に必要なものリスト
登録に必要な書類
行政書士会への登録に必要な主な書類は以下のとおりです。
詳細は日本行政書士会連合会や所属予定の都道府県行政書士会のウェブサイトで最新情報を必ず確認してください。
- 登録申請書
- 履歴書
- 誓約書
- 合格証の写し
- 住民票
- 身分証明書
- 登記されていないことの証明書
- 顔写真
- 事務所の使用権原を証する書面(登記情報・賃貸借契約書の写し等)
- 事務所の位置図・平面図
- 事務所の外観・内部写真
事務所に必要な設備・備品
事務所として機能させるために最低限必要な設備・備品は以下のとおりです。
- 執務用デスク・チェア
- 来客用の椅子(面談スペース)
- 書類保管用のキャビネット・金庫
- 複合機(プリンター・スキャナー・コピー・FAX)
- パソコン
- インターネット回線
- 電話(固定電話またはIP電話)
- 表札
- 職印(行政書士の印鑑)
- その他自分で必要と思うもの
開業セットは必要か?
インターネットで「行政書士 開業」と検索すると、「開業セット」や「開業キット」といった商品が見つかります。
これらは書類のテンプレートや実務マニュアルなどをセットにしたもので、数万円〜10万円以上するものもあります。
結論から言うと、筆者は開業セットを購入しませんでした。その理由は以下のとおりです。
- 法改正により内容が古くなっている可能性がある
- 業務範囲が広いため、自分が扱わない分野や不要な資料・販促物が多く含まれる
- 必要な情報は都道府県行政書士会や日本行政書士会連合会の研修等で入手できる
- 実際の案件で使うテンプレートは、案件ごとにカスタマイズが必要
開業セットが無駄とは言いませんが、内容をよく確認せずに購入すると、使わない資料にお金を払うことになりかねません。
何が含まれているか事前に確認し、本当に必要かどうか慎重に検討してください。
実務講座を受講した感想

実務講座の種類
行政書士試験に合格しても、実務の知識はほとんど身についていません。
そこで多くの新人行政書士が検討するのが実務講座です。
筆者も複数の講座を検討・受講しました。
実務講座には様々な種類があります。
- 行政書士会が主催する研修
- 資格予備校が提供する実務講座
- 先輩行政書士が個人で開催するセミナー
- オンラインのホームページ制作講座
など、様々なものがあります。
効果のないものや当初は安いが、後々高額になる(いわゆるひよこ狩り・ひよこ食い)等には注意しましょう。
筆者が受講したもの
筆者が感じたのは、講座によって質にかなり差があるということです。
行政書士の学校が提供する実務講座の中には、役立つものがある一方、内容が古く現在の実務に合っていない講座もありました。
古い講座に関しては使いようです。
講座を受講し、自身で改正分野を調査・勉強すれば活用は可能です。
特に法改正が頻繁に行われる分野では、講座の内容が最新の法令に対応しているか確認することが重要です。
受講前に講座の更新頻度や、受講者のレビューをチェックし、実務講座を活用するか否か検討することをおすすめします。
資格予備校の契約書作成・チェックに関する講座も活用しました。こちらは筆者の中では有意義でした。
自宅開業という選択肢
行政書士事務所は、自宅で開業することも認められています。
自宅開業のメリットとデメリットを整理しました。
メリット:
- 事務所の賃料がかからない
- 通勤時間が無い
- 初期費用を大幅に抑えられる
デメリット:
- 事務所所在地として自宅住所が公開される
- 来客対応スペースの確保が難しい場合がある
- 仕事とプライベートの区別がつきにくい
初期費用を抑えたい方や、許認可申請業務など来客が少ない業務を中心に行う予定の方は、自宅開業から始めて軌道に乗ってから事務所を借りるという選択肢も検討に値します。
筆者の友人に同期で秋ごろ自宅開業の行政書士がいますが、現状特に不自由はしていないようで、依頼も徐々に入ってきているとのことです。
まとめ

行政書士試験合格後~事務所を借りて開業するまでの流れと費用について、筆者の実体験をもとにお伝えしました。
ポイントを整理すると以下のとおりです。
- 開業にかかった総費用は約76万円(事務所契約26万円+登録費用30万円+備品等20万円)
- 開業までの期間は約4か月(効率化により短縮可能)
- 事務所契約の審査では事業計画や資金について詳しく聞かれる
- インターネット回線の手配は引き渡し当日に連絡すべき
- 開業セットは内容をよく確認してから購入を検討する
- 実務講座は質に差があるため、評判や更新頻度を確認する
- 自宅開業で初期費用を抑える選択肢もある
開業は行政書士としてのスタートラインに過ぎません。
登録後も継続的な学習と営業活動が必要です。
この記事が、これから開業を検討される方の参考になれば幸いです。
記事を執筆している現在、筆者はホームページの自作(WordPress・オリジナルテーマ)に時間がかかり、年始にやっと公開したばかりで、順位が安定せず、行政書士業務の依頼はありません。
ホームページ制作・SEO対策・MEO対策・AIO対策など様々なことを行いました。Web事業の仕事(SEO対策・SEOライティング・画像加工、Web集客の企画立案がメイン)があるため、金銭的な心配はしていませんが、順位安定まで待ちたいと思います。
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