うつ病の正社員を解雇はできるのか – 労働基準法問題
うつ病などの精神疾患を理由に正社員を解雇できるのか?労働基準法で問題は無いのか。
会社としては、うつ病等の精神疾患によって仕事を十分こなせない人がいると、売上低下や他の人に迷惑がかかるので困るので解雇したいかもしれないが労働基準法上どうなるかわからない。
正社員(本記事では、その他パートアルバイトも含む。以下、「正社員」という)からしてみれば、会社の仕事の進め方や上司、同僚などによってうつ病等の精神疾患が発病したとなれば、解雇なんて許すのは難しい。まして、自主退職や退職勧奨なんて受け入れられない。労働基準法として正社員を守れるのか。
さらには医者の意見として休業という診断結果、診断書が出ることもある。
では、このような場合、会社はどのようにすればいいのか、正社員はどのようにすべきか、医者の診断結果として診断書が存在する場合はどのように対応すべきか。
様々な観点からどのように労働基準法が適用になり、正社員はうつ病を理由に解雇になるのか否かを見てみましょう。
会社から見たうつ病の対応と労働基準法の適用
まずは労働基準法を見てみましょう。
第十九条 使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。ただし、使用者が、第八十一条の規定によつて打切補償を支払う場合又は天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合においては、この限りでない。(>>e-Gov労働基準法より引用)
上記労働基準法19条によると、業務上の理由でうつ病などの精神疾患となった場合、療養のために休業する期間とその後30日間は解雇しちゃいけないということになりますね。
次に、労働契約法を見てみましょう。
第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。(>>e-Gov労働契約法より引用)
解雇は一般的に考えて(客観性)ちゃんとした理由もなく(合理性)、社会的に大半の人が当たり前と認められる場合ではない解雇は、会社の権利としてはやりすぎ(権利濫用(けんりらんよう))として無効(始めから効果がない)ということになります。
ざっくりいうと、すごい理由がないと解雇できない = 簡単には解雇できないということです。
労働基準法に加え、労働契約法についてもしっかり把握が必要です。
退職勧奨
退職勧奨とは、「自主退職を促す」行為になります。解雇ではなく自主退職になりますので、うつ病を理由とした退職勧奨は自主性に問題が出ることが多く、うつ病罹患者に対しての自主退職を促す行為は適切とは言えませんね。
あまりにもひどい場合は慰謝料請求問題とへと発展するケースもあります。
うつ病と診断した医師がだした診断書の効力
まず、会社は就業規則に定めがない場合にも、客観的な合理性(体調悪く見えて仕事の生産性が落ちすぎとか、体調不良を理由に休むことが多いなど)が認められれば、会社側が講じる必要がある「安全配慮義務」履行のために、医師への受診を命じることができます。
従業員は医師に「うつ病」であり、「休職が必要」医師の客観的判断に基づく診断書を書いてもらい、提出することになります。
この診断書を元に、会社が休職制度を適用するか否かを判断することになります。
診断書に「うつ病で○○日の自宅療養を要する」と書いてあった場合は、会社は正社員に対して、素直に休職制度を利用することを勧めたほうが無難でしょう。あくまで勧めであり、命令することができないことに注意しましょう。
正社員も「仕事頑張ります!!」と言わずに、医師の判断に従って静養しましょう。無理に働いて会社に損害を出せば、損害賠償問題にもなりかねません。
結論
会社は、労働基準法などの観点から、うつ病を理由に正社員を解雇は簡単にはできず、休職制度を利用することになるでしょう。解雇したら正社員から反論される可能性もあります。退職勧奨は可能だけど、自主退職なので、従業員の自主性が大事です。
一方、正社員は、労働基準法の観点から、しっかり働く義務があるので、体調が悪くて働くのが厳しい場合はしっかり会社伝えて、医師の診察を受けましょう。そのうえで自主退職は可能ですが、休職制度の利用について会社に聞いてみましょう。そして、休職制度を利用した場合は、会社と医師と正社員で復職プランを計画し、復職できるように徐々に努力しましょう。
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